「楽して稼ぐ」は苦行。雇用主の”障害者枠だから”の遠慮は差別だ。
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仕事での悩み おゆみパイの憂鬱, 楽して稼ぐは難しい, 障害者枠を利用する際のデメリット, 障害者雇用の現場とは?
「おゆみパイ」さんというブロガーの方が、障害者枠雇用について記事を書かれていたので、障害者枠での就労経験者として僕も意見を書いてみました。
まず「おゆみパイ」さんについて軽く触れておきますね。彼女はブログ「おゆみパイの憂鬱」の管理主さんで、漫画やイラストを使いながら情報発信をされている人気ブロガーです。最近まで障害者枠での仕事をされていたようですが、障害者枠という特殊な状況から「社内ニート」になってしまい、精神的に参って離職されたそうです。以下引用。
実は私、障害者雇用枠で働いていたんですよね。軽度の精神障害を患っているのです。
だから会社側も障害を考慮してあまり無理を与えないようにしなければならない。そうでないと病気や障害が悪化されたらケアに困りますし、休みがちになったりいきなり辞められたりされてしまうからなのです。
きっと会社側も仕事を与えたくてもなかなか任せることができなかったのでしょう。
引用元 ジョブセンスリンク
僕も、いくつかの障害者枠での仕事経験があるのでわかりますが、おゆみパイさんは障害者枠特有のデメリットに陥って辞められているようです。障害者枠のメリットは「障害を含む個々の事情に配慮してもらえる」など、想像頂ければある程度イメージできる内容なのですが、デメリットになると障害者枠で働く(働いた)経験者しかわからない物があります。
楽そうな事は苦行の裏返し
人によっては、おゆみパイさんがレアな職場に入ったように感じるかも知れませんが、本当に「何もしなくても大丈夫そう」な障害者雇用の現場は存在します。僕も経験しているのですが、本当に何もしないまま1日が過ぎるなかで給料を貰った時期がありました。
こう言うと、「本当に何もしないでお金を貰えるなら楽で良いのでは?」と思われそうですが、何もせずにお金を貰う事は逆にハードです。これは「ニートは何もせず楽でいいな」と思われがちな意見にも似た部分があるのですが、仕事でも家の中でも同じで「何も生産せず、何も前進しない」という日常を続ける事はお金を貰えても苦行そのものになります。
働いていなくとも、家の中や外に出て何かに触れているのは、「何かしらをしていたい」という欲求の表れです。逆に、何もしないままずっと寝ていられる人は、どこか病んでいる可能性が高いとも言えますね。
適度にしんどい思いをした後(仕事でも運動でもいいです)など、意外としんどい事実を忘れて、充実感が生まれた経験はありませんか?僕は経験があるので思うのですが、人間として生きる以上はそこそこの負担は背負ってしまう方が楽だと感じています。何もしなくて済む=楽ではないと言えます。
「障害者」の能力は超下に見られる傾向がある
障害者枠での採用をしている企業は多いですが、「障害者」という存在を把握している企業は少ないです。僕なんかだと「発達障害だから、これは出来ないだろう」と決めつけられたり、そもそも一般常識の理解力すら無しと勝手に「障害イメージ」のみで会社側から判断されている事もありました。
おゆみパイさんも、仕事内容はわからないのですが、色々と障害者フィルターを通して勝手に判断された結果、難しい仕事を振られたりする事が無かったのかもしれません。一般で入社した人の能力は、これでもかと潰れるほど使い倒して把握する現状に対し、「障害者」というだけで能力を勝手に低めに見積もられてしまう現状は問題です。
僕は事情が事情なだけに、障害者雇用の現場をいくつか見学させて頂いています。そんな中で見てきた現場は、能力の有無を問わず、ひたすらタオルの折りたたみや箱を組み立てるだけの作業の現状があったりするのはザラでした。
こういった障害者雇用の現場は、朝起きて職場に来れるかどうかの人のレベルから対応せねばならない事もあるため、折りたたみが楽勝な人がいても請け負いする仕事内容の調整が難しいと伺った事もあります。一般雇用は高いレベルを求められるのに対して、障害者雇用は逆に低いレベルに合わせられるような部分を求められる傾向が強いのです。
障害者だからと遠慮するのは差別
以上の事から、会社側が障害者に配慮し過ぎると、結果的に障害者枠の雇用者のやる気を削ぎやすい状態が出来やすくなります。おゆみパイさんも書かれていますが、会社側が遠慮しすぎて「負担を掛けさせない事や、症状の悪化を未然に防ぐ事」に注意しすぎると、雇用しておいて何もさせない飼い殺しのような状態に入りやすくなります。
「やる事がカンタン過ぎて、毎日が暇。成長している実感も湧かない」となると、行きつく先は「ここに居ても意味が無いや」と社内ニートのようになり無気力感に包まれるのではないでしょうか。企業側もお金を払って雇う以上は、ある程度の仕事はふって、難しそうなら修正するといった方法などを取る必要があるでしょう。
障害のある方を一見すると、配慮をしないといけない存在の人のようですがキツイならキツイと言えますし、反発だって起こします。困るのは一般採用で働いている人と差別化して、楽な仕事を振られている事だったりします。同じ職場で働く以上、給料こそ違えど楽そうな仕事か難しそうな仕事かは気になるものです。配慮と遠慮は別物という感じです。
最初から決めつけで簡単過ぎる仕事ばかりしか渡さないのは問題であると感じています。せっかく出会った雇用主と雇用者ですので、損な結末で終わりたくないですからね。
終わりに
僕もおゆみパイさんと同様に、とある障害者枠での仕事をしていたのですが、そこは給料は安いながら「何もする事が無く、するにしても簡単な事ばかりで楽にお金を貰いながら一日を過ごせる」という場所でした。
こういう場での仕事に就けた事を最初はラッキーだと思いましたが、時間が流れるに連れて自問自答する事が増えたんですよね。「俺はこんな甘い環境で働いていてもいいのだろうか」という自責の念に駆られるというか。楽しても、苦労しても得る給料の金額は同じだと思っているのですが・・。
しかし僕は、「こんな楽な仕事で金を貰っていたら自分がダメになる」と心配になり辞める決意を固め、レベルを上げるため難しい一般職に向かう準備をして離職しました。まあ、レベルアップのつもりで一般に行ったら結果的にフルボッコにされて涙目でまた離職してますが(汗)
ただ、一般枠で働けば障害なんて関係なく、発達障害者という腫れものに触れるような扱いがなくなります。周りから言われ放題に叩かれるので、それはそれでキツイですが・・・それでも、全力を出して働いた感みたいなのは残るんですよね。
能力以上の仕事を求められ使い捨てられる一般雇用者がいる半面、能力の半分も出さないまま飼い殺しにされている障害者がいるのは変な世の中だなと思います。個々の能力値を認められない社会が根底にあると思うんです。
一般枠も障害枠も平均主義といいますか、「みんなこれくらいの能力」という見えない基準が多方面の可能性を潰しているようにも見えます。
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