イケダハヤト「ブロガーは『歴史性』と『芸術性』を意識できると面白い」
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ブログを育てる ブログにおける歴史性と芸術性, ブログの定石
先日イケダハヤト氏に会いに行った話を書きましたが、ブログ論に対するお話も聞いております。そういったお話をさせて頂く中で、非常に考えさせられる意見がありました。それは僕の趣味である「囲碁」の世界の話をしていた際の事です。
イケダ氏いわく「囲碁とブログは通じる物がある」とのこと。もちろん前提として囲碁に限らず、何事にも置き変えて考える事が出来るとも言われていましたが、具体的な共通点は次のような話です。
イケダ氏「囲碁というのはアートの世界に通じる物があり、新しい作品を作っていくというところが実は主眼である。先人たちを学びながら、自分たちが歴史を作っていく」
面白いなと思ったのは、イケダ氏が囲碁を全く知らないにも関わらず僕の話を聞いただけでこのように解釈していた事です。これは普遍的な事を言っているようですが、実は多くのトップ棋士たちの囲碁観と似た感性で表現しているように思えました。ブログにせよ囲碁にせよ、「1つの物事を突き詰める人たちの境地」なのかもしれません。
囲碁は「勝ち負けを争うゲーム」ではあるのですが、トップ棋士たちは「勝ち負けの枠」を飛び越えようとします。例えば囲碁は一局ごとに「棋譜」と呼ばれる対局記録が残るのですが、トップ棋士になるほど「勝ち負け」はもちろん、碁の内容を意識するようになります。タイトルを保持するレベルの棋士になると「無様な碁は打てない」と考えるのです。
棋譜は、囲碁が生まれてから現代まで語り継がれている、いわば歴史の証言者にもなります。そして数百年の時代を継承され続ける棋譜に対しては「芸術」や「アート」と言う認識を持っている棋士も少なくありません。僕の好きな棋士にも「囲碁は芸術」と表現されている先生がいるので紹介しておこうと思います。
武宮正樹九段「碁は芸術」
イケダ氏の話を聞いていると、僕の大好きな棋士の考えと似たところがあるように感じました。棋士の名は武宮正樹先生です。武宮先生は独創性のある碁が特徴的で、トップ棋士でも真似できない魅力的な碁を打つ事で知られています。囲碁における「定石や定番の型」を打たない棋士で「宇宙流」と呼ばれるオリジナルな世界観を持たれています。
武宮先生の名言をツイッターbotから貼りつけさせて頂きます。武宮先生の本や発言から確かに同様の事を言っていると思いました。
芸術には、多くの人が惹きつけられます。その魅力の根源は、「美」にほかなりません。世の中の美しいものの代表が芸術なのです。碁も、そうした芸術の一分野。創造性が豊かであり、優れた着手や構想は明らかに美しいものです。そんな世界に触れてみる。必ず豊かな精神をもたらしてくれると私は思います
— 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 8月 2
抽象性、創造性、そして感性に訴える美的要素。 このように碁は、どの点をとっても神様の贈物としか考えられないのです。 神様は、人間が美しい芸術を創造するための道具として碁を贈ってくれた。これは間違いのないところです。 — 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 7月 31
武宮先生は「碁は芸術作品」と考えており、著書では「碁盤を真っ白なキャンパスに見立て『アート』を描くように自由に打つ」といった内容が書かれてもいます。碁は強くなればなるほど楽しくなるのですが、同時に棋譜を作品として見て楽しむ事もできるようになります。
「棋譜鑑賞」という言葉が存在し、棋譜を見て勉強する事はもちろん、「きれいな碁」「美しい一局」と表現している棋士がいるのも事実です。勝負ではありますが、勝ち負けだけで終わらない面白さが囲碁にあることは僕も体感しております。
碁には定石や布石の型がありますが、「定石だからこう打つ」というのでは固定観念にハマってしまい、のびのびとした碁が打てません。定石は一つの例、目安ぐらいなものと認め、それに頼らないことが大切です。いつもいつも定石通り打って、どこがおもしろいのでしょうか。
— 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 7月 18
プロ棋士は勝負が直接生活にひびくので盤上であまり冒険もできず、つい既成の布石や定石に頼ってしまいます。しかし本当に碁を愛するなら、もっと自由に自分を表現すべきではないかと思います。 — 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 7月 17
定石といういわば「常識の枠」に捉われて伸び悩む人がいます。僕もそうなのですが、「プロが打つから正しい」「定石で考えれば一般的にはここに打つしかない」みたいな考えで打つと、すでにそこからオリジナルは生まれません。「本当は打ちたい手があるけど、普通に考えたら無い手だよな」と打たない人は多くいます。
また、思いついた手を打てたとしても自分より強い人から「そんな手はありえない」と批判を受ける事もしばしばあります。しかし武宮先生やトップ棋士は、そういう時こそ「言いたいように言わせて、自分の思うように好きなように打てばいい」と言います。自分を貫いてこそ碁は楽しいし、強くなれるという考えが前提にきているようです。
「宇宙流」のような発想の碁は、それまで誰も打ったことはありません。こうした独創は、絶対に人に迷惑をかけない。それどころか「面白い」ということで、囲碁ファンが増えたのではないか。その意味で「宇宙流」は、碁界の発展に多少とも寄与したであろうと自負しています。
— 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 7月 30
「棋譜が後世に残るような碁を打ちたい」私は、いつもこう考えて対局に臨みます。これは私だけでなくほとんどの棋士に共通する思いのはずです。 — 武宮正樹先生の名言をつぶやくbot (@take3miya) 2015, 7月 21
囲碁において定石は先人たちの作り上げた、「最善の手」なのですがトップ棋士たちはその最善の上を常に目指します。独創性のある碁を打つ人ほど「そんな打ち方は無い」と否定されがちですが、時には先人の定石や型という考えに敬意を払いつつも、否定した打ち方をしないといけない場面があります。オリジナルな手が生み出される瞬間ですね。
ブログも囲碁も「歴史性」に着目して考えると面白くなる
イケダさんは、囲碁や将棋が過去から現在に至るまでの過程で、常に進化を続けている事に着目していました。トップ棋士は先人の教えを模倣しながらも研究し続け、そこに辿りつくまでの「歴史性」を大事にしているからこそ過去を乗り越えられると解釈し、ブログにも同様の事が言えるという話をされていました。
イケダ氏「ブログはテキストや小説や現代史など、連綿たる中世からの創作物の中に存在している。そういった歴史性の中にブログという時代が作られようとしているのは新しいソーシャルの手法でもある」
ブログは歴史そのものとしては浅いけれど、一過性の物と考えず先人達が作ってきた「歴史や文化」として考える事が重要だという話になりました。ブロガーは、「歴史性」を意識する事でブログその物に対する見方が変わっていくという感じです。
次世代ブログの定石とは?
こういった話の流れから、イケダさんに「新しいブログの定石を見たいですか?」と質問してみたところ回答を頂きました。
イケダ氏「僕はめっちゃ期待しますし、そういった物が読みたいです。『この書き方は上手い!』と思えるような。例えばヒビノケイコさんはある種、次の時代の定石のようなもので、イラストを上手く織り交ぜながら作られており実際に上手いです。でもまだまだ型に捉われずに、ブログを創作していく方法がいくらでもあると思います」
テキストのみや、テキスト+画像というブログの定石から先に進む、ヒビノケイコさんのスタイルなどは面白いという話になりました。僕もヒビノケイコさんのブログは拝読させて頂いておりますが、イラストはもちろんのこと書かれてある内容が「深み」を持っているため簡単に真似できない位置に進まれていると思います。
定石という「一般的にはこうだ!」と言われる物を、一度ぶち壊してこそ次のステージを目指せるといった話にもなります。新しい歴史を作っていくという話を聞けて面白かったです。
ヒカルの碁は「芸術」と「歴史」を織り交ぜた漫画の最高傑作
今回、イケダさんの話を聞いて思う事がありました。過去に「ヒカルの碁」が大ブレークを起こしていますが、その背景には実は今回のテーマに上がった「芸術性」と「歴史性」が漫画に上手く織り込まれていたからではないかという点です。
主人公ヒカルの元には、江戸時代の本因坊秀策(藤原佐為)という棋士が歴史を越えてやってきます。作中では「秀策が現代によみがえり、定石を研究すればどうなるか」という論争が出てきて、囲碁歴史の中でいったい誰が最強なのかという夢のある話が展開されています。佐為が現代のトップ棋士に追われるストーリーは面白さを増幅させています。
また、「一局を漫画と言う作品でどのように読者に見せていくか」という観点ですが、勝ち負けや登場キャラの心理描写はもちろん、「一局をふたりで作り上げる作品」のように表現している場が多く登場します。ヒカルが碁盤を宇宙に見立てて打つ場面などは、芸術的表現ですし、ライバルのアキラも「美しい一局だった」という言葉で盛り上げます。
少年漫画ですし「対決」がメインではありますが、上記のような観点が盛り込まれての人気爆発に繋がったようにも思います。人の潜在的な芸術や歴史への探求心を満たしていたと考えれば不思議ではありません。
星空のカラス 1 (花とゆめコミックス)も僕は読んでいます。管理人あらたのプロフィールはこちらです。
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