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ひきこもりの俺が働こうとしたら犯罪に加担しそうになった詐欺の話

 

これっぽっちで内職なんかやってられるか!

 

冬になると思い出す事がある。不登校になった最初の年の冬の話で2000年の事だ。当時は強迫性障害に陥り、何もできない自分を責めていた。学校も、バイトも行けない。そんな自分に出来る事を探そうと選んだのが内職であった。家で働けるならと意気込んだ。

最初にやった内職は、ゴムに切れ目を入れる作業。このゴムというのが後々、冷蔵庫などに使われるらしいのだが、細かい切れ目は人間の手作業らしい。単純作業の繰り返しになるが仕事になるなら問題は無い。やる事を決めた。

大量のゴムが部屋に運び込まれ、専用のニッパーのような物で切れ目を入れる毎日が始まる。かなり握力を使うので、すぐに指が持たなくなるので母親の協力も得て頑張った。しかし毎日何時間もやって、一か月500円しか稼げなかった

ひとつできても単価が1円にもならないレベル。手は他の物を掴めなくなるくらい痛めながら、毎日何時間も頑張ってワンコインちょっぴり。これならやらない方がマシという気分になりすぐ辞めた。

 

1枚ハガキを書いたら50円以上になる美味しい話

ゴム切りの内職では厳しいので、もっと効率的に稼げないのだろうかと考えた。そんな時に、当時どこで見つけたのか忘れたが求人広告に掲載されていた「在宅ではがきの宛名書きをしよう!1枚につき50円~」という見出しを見つけた。

当時の俺は18歳。家の中でひきこもり、強迫観念に捉われて生きるだけの人間。まったく外の世界の知識などもなく、世間知らずも良いところ。懸賞でよくハガキを書くのが好きと言う理由のみで、この宛名書きの仕事に適性を感じてしまった。

そして俺はこのハガキを書く仕事がしたいと思い資料を取り寄せた。ゴムに切れ目を入れて月に500円だった世界を思うと1枚書いて50円になるなら、一生ハガキを書いて生きてやるわと意気込んだ。

申し込んで数日後に送られてきたのは、内職をするための手続き書類。書いてあるのは

 

登録料とシステム利用料が必要で1万円を振り込めば仕事が始まるという内容。

 

俺はかなり高いと思った。しかし高いと思いながらも、大きな疑問を抱かない。なんで1万円も必要なのだと思う反面、家から出て働けないひきこもりの身分ゆえに稼ぐ方法は限られている。お年玉などから手続き代を支払った。

 

支払い手続き後は、宛名書きの会社から封書が届く。ついに仕事の始まりかと胸を躍らせていたが内容を見て愕然。なんとDM(ダイレクトメール)と言う手段を使いハガキで商品を紹介して「当社の商品を買いませんか?」という内容を全く知らない他人の家に送れと言うのだ。

会社からの指示マニュアルなどには次のような内容が書かれてあった。

決して宛名書きを印刷で済ませるような楽をしないようにしましょう。1枚1枚心を込めて丁寧に書く事が大事。そこからお客様に気持ちが伝わり、この人からなら商品を購入したいと思って頂けるのです。

というような内容。ブラック企業みたいな言い回しである。

 

大きな流れが見えてきた。商品をハガキで紹介し売れたら成果報酬が発生するという話だ。その成果報酬によっては、莫大な利益を生むので1枚書いたら50円儲かる計算になるという理屈。しかしDM用のハガキは自腹で負担する。

効率的に売れないとハガキ代は負債になる極悪システムだった。

 

「売れる」個人情報の名簿とは


まだ取り扱う商品が売れそうな品なら問題ない。しかし、売らねばならない品はほとんどが高価なアクセサリーだ。「高価な貴金属を買いませんか?」などとハガキが届いた事のある読者はいないだろうか。そういうハガキが届く。ハガキから買う人なんて、どれくらい存在するのか。

また、ハガキも誰に送ればいいのかわからないので指示書を読んでいると、顧客はタウンページで調べろという内容にさらに驚いた。これはタウンページに個人情報を載せる人が減るのも当然だ。手当たり次第に狙えと言うのか。

そんな劣悪な状況で買い手を見つけられるはずもない。しかしそういう心理まで読んでいるのか、何やらよく買ってくれる人の名簿をさらにお金を払う事で売ってくれるという内容のオプションまで封書に入っている。

 

え!?個人情報の売買!?

 

今考えれば危なかった。当時は買ってくれる人の名簿があるのかと普通に受け入れてしまいそうだった。今なら犯罪だと思うが、俺のような日々がひきこもりな人間にはお金を追加してでも稼げないかと考えてしまった。

しかし俺の様子をおかしいと思った母親が、消費者センターに相談。センターの方に、息子がこういう仕事をやろうとしているのだが追加料金を払わされそうと相談した。すると同じようなケースの相談が出ていたらしくすぐに辞める事を決めた。

消費者センターの見解としては、「お金をこれから稼ごうという人が、会社にお金を払わなければならないシステムは基本的におかしいと考えて下さい」という意見であった。そしてこの商法は、法的にも取り締まれないグレーゾーンな商売でもあるようだった。

 

俺はこの会社はクソだな!と宛名書きを諦めた。返金にも応じてもらえない。

 

マニュアル書も読み返せば読み返すほど不可解なもので「一回売れたらリピート率が高いので、忘れられた頃に送ればさらに儲かる」などと書かれてあった。詐欺に掛かる人は何度でも掛かると言う理屈だろうか。

お金の先払いさえしなければ決して詐欺に遭わないのは、現代の振り込め系の詐欺にも言える事だ。とにかくお金を渡さない事が最大の防衛だと消費者センターの教えを得る事ができた。

 

当時は非常に宛名書きの内職の応募があったのだけど、俺の1万円払ったところが極悪過ぎたのだと考えた。その後の俺は、もう2度と同じ過ちは繰り返さないと心に誓う。しかし1万円の損を取り返そうと ・・・

心のキレイそうな宛名書き会社に応募していた。

 

 

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オッサンの肉体がビデオで・・

 

 

一度だまされた俺だが、事もあろうにまた別会社に応募したのだ。「別の場所だし、次のところまで詐欺なら全部詐欺の世界じゃないか」と考えたからだ。法治国家、法治大国である日本の中でまさか2度も詐欺に遭うわけがないとタカをくくっていた。

消費者センターの教え通りに、とにかくお金を払わない事を前提として心構えをしていた。そして届いたのは大きな封筒だった。しかもパンパンに詰め込まれている感じだ。かなり重たく、分厚い。開けてみると中には大量の資料がありえないほど入っており、ビデオテープまで入っている。

まだ仕事をすると決めていないのに、この力の入れよう。正直なところ異常性すら感じてしまうほどの送付量に引いてしまった

もちろん前回と同じく中身も怪しい。ハガキを書くのか、商品を通信販売するのかすら分かりにくくなっている。利益配分などといったシステムが書かれてあるも理解できない。そしてまたしても、こちらからお金を払ったりする事で稼げるというような内容。

 

もう怪しい臭いしかしない。何より同封されていたビデオに目が行ってしまった。何のビデオなのか分からないが、俺は再生した。これまた内容に驚愕した。

 

ビデオでは、オッサンがまるでアクション映画でもやっているかのような壮大なシーンを熱演しているのだ。けっこう体つきも良かった。そして一緒に見ていたオカンは俺にこう言った。

 

なにこれ。気持ち悪い。

 

正直なところ、俺もビデオの異様な雰囲気が気持ち悪かった。仕事をする予定が、全く知らないオッサンの肉体を見せられるのだから。俺はちくしょーめ!と2度目の諦めを決意。特にお金も払わず、封筒もすべてゴミ箱に捨てた。

 

ビデオに出演していたオッサンの正体

ちなみに、このビデオでハッスルしていたオッサンは後にテレビに出演している。そこで大体どんな人かを知る事になる。何のテレビかと言うとニュース番組だ。といってもインタビューを受けるのではない。内容は

 

オッサンが詐欺容疑で逮捕

 

そうオッサンの正体は、かの有名な詐欺会社ジーオーグループの会長だったのだ。

ビデオの内容は、ほとんど忘れてしまったが、だいたいこんな感じというモノがネット上の動画サイトにあったので参考程度に置いておく。興味があれば見てみるといい。確かに意味不明でこんな感じだったなと当時を思い出した。

 

なぜこんなにユーチューブで出回っているのかわからないが、被害者は多かったと言われている。俺は最初にだまし取られたハガキの宛名書きで学習していたので、オッサンには騙されていない。結果的に内職騒動では1万円の損害で済んでいる。

もし何も知らずにこのオッサンの所に最初に応募していたらと想像すると、少し怖い事件でもあった。

 

詐欺被害に遭わない為のたった1つのオキテ

 

俺が騙された話と、消費者センターの見解を照らし合わせると1つの答えが導き出される。その答えとは

働いてお金を稼ぐつもりなら、こちらからお金を出さないこと

 

お金を貰う予定が、お金を払う立場になるのはおかしい。これは現在でいうならば、振り込め系の詐欺にも同じ事が言える。還付金詐欺などが典型的であるが、貰えるはずのお金を受け取るつもりが、なぜかこちらが支払ってしまう例だ。

詐欺に対しての知識などが無くとも、怪しい会社は何かとネットでググるなど警戒する事が出来るので、現代は便利なのかなとも思う。最後は注意喚起ということで締めくくらせて頂こう。

 

若者、年寄りに限らず防衛意識は必要だと思う。

 

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不登校→ひきこもり→ニートから社会復帰しバイトをするも凡ミスを連発。たび重なるエラーで職場に居られなくなり転職を繰り返す。そんな中、仕事で頻繁に起こるミスの原因は発達障害の影響と発覚。復帰と挫折を往復して現在はニートの1982年生まれ。

ニートに至るまでの経緯を決して無駄には出来ないと考え「僕がニートになるまでの歴史シリーズ」で半生を書き散らかしている。ニート当事者の方、保護者の方、またその他の方に届けられる記事を書いていきたい。
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