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「生活保護 受給者」や「犯罪者」をみんなイメージで語り過ぎ。俺の見てきた彼らは一生懸命だったよ

 

今回はコメント欄にお寄せ頂いたリクエストにお応えする形として、僕の見てきた「生活保護受給者」や「元犯罪者」の方々について書いてみようと思います。普段からネットなどで彼らに向けられる偏見コメントを見た際などに思う事がいくつかあったため、この場を借りて意見を述べてみようと思います。

それに伴い、個人情報などに触れる物は意図的にカットしている事もありますが、あらかじめご了承くださいませ。

 

まず僕が「生活保護受給者」や「元犯罪者」と知り合った経緯について触れておきます。

僕はこれまでも書いているように、社会に出ては挫折を繰り返しどちらかというと全うなルートを歩けていません。そのため就業にしても一般枠で無く、障害者枠などで働いたりと少し一般社会の横を通るような生き方をしております。その影響もあってか、福祉現場にそのまま関わったり見る機会が多くある中で彼らと出会っています。

世間的には「生活保護」や「犯罪者」は冷たく見られがちです。しかし、僕の出会ってきた彼らはそういった偏見の目で見られるには、少し厳しすぎる社会ではないかという現状がありました。理由は至ってシンプルですが、彼らは非常に厳しい環境下で生活せざるを得ない方々ばかりだったからの一言に尽きるからです。

ではケース別に書いてみます。

 

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山田さん(仮名) 40代男性 「生活保護受給者」

山田さんは、僕がむかし勤めていた作業所の先輩になるのですが、彼には重度の精神障害がありました。そのため、精神状態が安定せず就労しても長続き出来ない面が強く出ていました。しかし、症状が安定している時はいたって普通の方ですし、優しいおじさん的な存在でした。

ただ、彼には身寄りが無く(全員が亡くなっている訳ではないが頼れない関係の身内はいる)共同生活をされているようで、福祉支援を受けている人専用のアパートみたいな場所で生活されているようでした。そういった場で生活するために、彼は「作業所で稼いだ給料」と「生活保護費」でやりくりされていました

 

僕には、生活保護システムの事がよくわからないのですが、彼は「給料に応じて生活保護費が変わる」と言っていました。給料日になると、「役所に出す明細が必要」と職場の人に色々な書類を頼んでいたのを覚えています。聞いていると、どうも彼は自分が稼いでも足りない残りの生活費用を「生活保護」として受け取っていたようなのです。

僕はそれを聞いた時、「じゃあ適当に会社を休んでも、残りを生活保護でサポートしてもらえるのでは?」と思ったのですが、彼の場合はそういった事は鼻から頭にないようで、調子が悪くても出勤してくるのです。彼にとっては、休む事よりも働く事の方が嬉しいという感じで、真面目とはこういう人の事を指すのだろうと感覚的に感じました。

こう見ると、マスコミは不正受給を大きく報道する事が多いですが、彼のように真面目にやっている人にしてみればいい迷惑ではないでしょうか。真面目にやっても、世の中には「それが当然」だと報道される事もありません。しかし、報道からの世間イメージに圧迫される方々もいるのではないかとも思うのです。

こればかりは、山田さんがどう感じるかの問題で想像で僕が語っても仕方が無いのですが。

 

また、山田さんと給料日に話している際に僕が「給料は無駄遣いせず、なるべく貯金したい派です」と言ったところ、彼は驚く事に「自分は生活保護だから貯金は出来ない」とも言っていました。ルールがよくわかりませんが、生活保護は貯金をするとアウトなのだそうです。

これを聞くと、彼がどういった形で今後の自立計画を組み立てているのか、おせっかいかもしれませんが理解できませんでした。というのもその職場で真面目に仕事を続けていたとしても、大きな昇給や昇格はもちろん、世間的に通じるスキルなど身に付きにくい仕事だったので、貯金でもしないと次のステップが踏みづらいと思ったからです

僕は彼の前では言えませんでしたが、「貯金も出来ない中で働くなんて、そもそも精神的にも安心した生活など送れるはずが無い」とも思いました。どれだけ頑張っても資産を増やせず、貯金をすれば違反になるという話を聞いたせいか、僕は「生活保護」で楽に生きられるとは考えられなくなりました。

 

もし生活保護を受けながら貯蓄が出来たとしても、それは逆に「いつ見つかるかわからない不安」を抱えたまま生きる事になると思うのです。おそらく報道で取り上げられるような不正受給者たちも、不正をしているという負担は常に抱えていると思います。

そう考えると、ネットで囁かれる「生活保護で楽ができる」といったイメージとはかけ離れた生活になるのではないでしょうか。

 

 

村井さん(仮名) 60代男性 「元受刑者」

「あの人は最近まで刑務所にいたんよ」と村井さんを紹介された時は、正直なところ僕は引きました。

なぜかというと、村井さんは僕にとっての初めての「元受刑者」との出会いになっているからです。僕の中で、後にも先にも「元受刑者」の方と関わりがあったのはこの村井さんだけ。完全な偏見ですが、紹介された時には身構えたのを覚えています。

この村井さんは、とある職場に勤めていた先の上司と昔からの馴染みがあり、その職場にも時々ではありますが尋ねてくる方でした。ちなみに村井さんは「聴覚障害者」で、両耳ともに聞こえない方でした。なので、身振り手振りで人に物事を伝えてコミュニケーションを取ります。

 

村井さんは、どんな犯罪で捕まっていたのかと言うと「窃盗」でした。どうも盗みに入った場所で、警報機が鳴り響いている際に、耳が聞こえなかった影響で気が付かずそのまま逮捕されたそうです。何がどうなってそんな話になったのかを聞いていると、少し事情があったようです。

それは村井さんには、むかしから身寄りがおらず、生活の支援を受ける事すら出来ていなかったようなのです。そんな状態の中で、村井さんの取った行動が「生存の為の窃盗」だったそうです。食べ物なのか、金品なのか何を盗んだのかは知りませんが、生きるための手段が「窃盗」という形に変わったようです。

また、まともに教育を受ける機会すら無かったようで、村井さんは字の読み書きも出来ませんでした。これは筆談で話そうとペンと紙を渡したら、書いてくれなかったため不思議に思っていると周りの方に「村井さんは書けないよ」と言われ分かった事です。結果的に、手話などはさらに遠い話となっているため、身振り手振りで伝えるようになっているようでした。

 

僕は他の「犯罪者」と呼ばれる方との関わりが無いのですが、この村井さんとの出会いによって少し「元犯罪者」への見る目が変わったのも確かです。それまでは、犯罪者と聞くとイメージ的にかなり危ない感じだったのですが、犯罪をするにも理由があると言いますか。もちろん理由があれば犯罪オッケーとまでは思っていません。

ただ幼い頃に教育の機会に恵まれず、支援をまともに受ける事が出来なかった村井さんは、すごく責められる犯罪者なのかと思うようになったのです。

 

僕などは、当たり前のように子供の頃は親に学校に行かされ、不登校などになっても「復学しておけ」とチャンスを貰えていますが、村井さんはそういうチャンスにすら巡り合えていません。また、耳が聞こえないというハンデに対する支援もまともに受けられていない状態です。

人によっては「自己責任で、自分から支援を受けに行けよ」と村井さんに言いたくなる方もいるかもしれませんが、まともに教育を受けて無ければ「支援を受ける」という発想すら頭に浮かばないと思うのですよ。世の中にある制度は、誰からか知らぬ間に教わって、無意識のうちに知る物じゃないですか。彼にはそれが無かったのです。

 

結果的に、村井さんは物を盗んでいますが、僕が思うに彼はギリギリの中でやった事なんじゃないかと思うんです。

以下のような場面を想像して貰えると分かりやすいかもしれません。

 

あなたは今、仕事もしていなければお金も持っていません。ずっと何も飲まず食わずに生活してきて、まさに空腹で死にそうな時に、目の前のお店に入ると美味しそうなパンが置いてありました。周りには店員さんもお客さんもいません。果たして、この状況の中で、絶対にパンに手を出さないでいられるでしょうか?

 

極論ではありますが、世の中にいる全ての人が、「法律を犯すから手を出さない」と言い切れるとは僕は思えないのです。マスコミの報道は断片的なんですよね。個々の事情は報道されませんし、報道されたとしても「責任能力の有無」など罪を問えるかどうかの視聴者が望む刑罰にポイントを合わせるくらいで他をボカシています。

もちろん、生い立ちも含めて報道する時間は無いので仕方が無い面もありますが。ただ、「犯罪をやった奴はすべてアウトだ」という厳しい意見を出すくらいなら、村井さんのケースになりますが如何に同じような立場の人を生みださないかなどに焦点を当てる方が建設的だと思うのです。叩くだけなら子供でも出来るという感じです。

 

終わりに

福祉の現場も格差だらけなんですよ。

僕は「軽度の発達障害」がありますが、家もあれば生活は親に面倒を見てもらえ、必要なら無料相談などにも乗ってもらえる支援機関も知っています。その傍らで、身よりなどもおらず生活基盤が無く、教育もまともに受けられる状態に無い方もいます。

これって僕が、たまたま運がいいだけで、誰からも支援されなければどうなるかわからないという話にもなるんですよね。

 

「生活保護者」や「犯罪者」について今回は書かせて頂きました。報道で目立つような話ではないですが、こういう人たちもいるんだと言う事を彼らにお会いした経験から書いてみました。

僕は専門家では無いので、「生活保護不正」や「犯罪者」の現実はよくわかりません。ただ、多くの報道は人の関心を煽りやすい事例を流すせいか、彼らと関わる機会が無い人への印象的には悪い物が多いです。僕の出会った方々のケースは報道されている話と、偶然に違うだけかもしれませんが、自分の見た現実を伝えさせて頂きました。

 

「元受刑者」の方に興味のあられる方は、元受刑者のイノシシさんのブログなどが面白く読めるかもしれません。刑務所の中についての記事などが読め、珍しい事を知る事ができます。

 

生活保護に関する人気マンガをご紹介

漫画ランキングでも紹介した事がありますが、生活保護をテーマに描かれた漫画です。内容はリアリティがあり現場がどうなっているのかは、僕も分からないのですがこういった漫画から実情を知る事も出来るのではないでしょうか。

不正が多いと思う方には、嘘臭く感じるかもしれませんが僕のイメージとはマッチした作品です。

 

 

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Comment

  1. 将来 より:

    記事ありがとうございます!
    意外でした!生活保護を受けられたら、必ず人生がラクになるって勝手に思ってましたね

    もう少し私は頑張ってみようと思います。

  2. 伝説のニート より:

    今回も興味深く読ませて頂きました。

    順風満帆に生きている奴らの中には、何も知らないくせにドヤ顔で所謂「普通のレールから脱線した人」を責める者がいますね、確かに。
    それも悪意なしにやってるからさらに何とも言えない気持ちに…
    自分も昔からはみ出し者だったゆえに、いつか新太さんが書いてた「何も知らない奴が偉そうに」という気持ちになることが最近多いです。

    人間、誰でも生きていれば一度は過ちを犯すものではないでしょうか……私だけ?……
    順風満帆さんの中には、はみ出し者に対して理解しようとされている方は、一部とはいえいらっしゃいますが。

    順風満帆に生きているふりをして、人生キズだらけの「伝説のニート」より

  3. あらた より:

    >>将来さんへ 

    こんばんは。リクエスト頂きありがとうございました。
    どれくらいの期待をされたかは定かではございませんが、何か将来さんにとって参考になっていればよかったです。

    そうですね。なかなか現状は、生活保護くらいでは人生幸せみたいにはなりにくいようです。セーフティネットとしては、確実に機能して欲しい制度には違いが無いのですけどね。

    それでは失礼いたします。またお越しくださいませ。

    >>伝説のニートさんへ

    こんばんは。

    そうなんですよね。何も知らない人だからこそ悪意も無く、まさに正論で彼らを糾弾していたりするケースもあるので・・・。マスコミの報道する偏った部分だけを見ていると、それはそれで怒りも出て当然なのかなとも考えたりします。

    というのも、僕の記事は僕の記事で偶然に不正している人たちや凶悪犯罪者に出会ってないパターンですので、逆に悪質なケースが僕の目に入っていれば、また違った考えを持っていたかもしれません。

    どうしても順風満帆なルートを辿る方からすると、見えにくい世界というのも問題なんですよね。社会問題だけど、関係ある人と無い人の差が激しいみたいな。

    ご閲覧いただきありがとうございました。それでは失礼いたします。

管理人:あらた


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不登校→ひきこもり→ニートから社会復帰しバイトをするも凡ミスを連発。たび重なるエラーで職場に居られなくなり転職を繰り返す。そんな中、仕事で頻繁に起こるミスの原因は発達障害の影響と発覚。復帰と挫折を往復して現在はニートの1982年生まれ。

ニートに至るまでの経緯を決して無駄には出来ないと考え「僕がニートになるまでの歴史シリーズ」で半生を書き散らかしている。ニート当事者の方、保護者の方、またその他の方に届けられる記事を書いていきたい。
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