僕がニートになるまでの歴史~19歳の引きこもり生活(前編)~
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ニートまでの自分史 9・11テロ当時の思い出, ハガキ職人の強迫性障害, リアル空飛ぶ靴, 惰性で物を買う男, 祖母のお金を使うニート
僕がニートになるまでシリーズですがしばらく書いていなかったので続きを公開します。
不登校になり休学した年である前回の記事はこちら。
2001年春 学校に行かない留年生
学校に行かなくなって1年が過ぎた。1年休学してみて復学できるかどうか?などの話を家族や学校側と話をした記憶すら無い。強迫性障害や、うつ状態などが重なり心身ともに安定していないだけに、復学どころでは無かったのは誰の目に見ても明らかだった。
それにしても俺は4月の時期があまり好きではない。これまでも入学、新学期など新しい節目には嫌な思いをする事が多かった。この年は、新しく何かを始める年にはならなくとも、やはり雰囲気と言うか空気感というか4月が苦手なのだなと改めて思った。
休学2年目という形でスタートを切るが、実質は何もしていない引きこもりの延長線にいるだけ。すでに同級生と連絡は取っていなかったが、余程の事が無いと周りは高校を卒業していっただろうなと考え、自分は置いてけぼりになったと不安になった。
だが不安で仕方が無いというだけで、何か動き出す事も出来なかった。
靴の履き心地を忘れた男
友人関係だけでなく、外の世界とは完全に連絡を断ち切っており、家の中が生活のすべてとなっていた。友達がどこにどう進学していったのか、就職したのか・・・さっぱり不明。地元にまだ残っているかすらもわからなかった。
この頃は、いわゆる引きこもりの状態でも特別に酷い状態であった。家にいる時間は長く、外に出て行く事が無いというか無理。前回の記事に書いたような事は相変わらず気になっていた。(ズボンを履いているかどうかや、○○○が見えていないかが気になり外に出づらい)
また、外の人と関わるのも怖いため、弟や母親に頼んで漫画やゲーム雑誌を購入してきてもらっていた。
しかし、こういった自分が何もせず、家の人間に用事を頼む事を母親はよく思わなかった。そこで母親自身が車で連れて行くから、せめて自分で店に入って用事を済ませる事くらいしろという命令が出た。このため弟も自動的に用事を断るようになる。
それからというもの俺は母親の運転する車に乗り、ゲームや本を買いに行く事となる。引きこもって、家の中で素足でしか歩いていない生活が続いていた人間が靴を履いたらどうなるか知っている方はいるであろうか?
これは俺の体感であるが、しばらく靴を履かない生活が続いた状態から、靴を履いて外に出ると、靴の底の部分に違和感を感じる。久しぶり過ぎて、靴の履き心地が新鮮なのだ。幼い頃に子供は靴を履く事を覚えるが、大人になって履いた人はいないだろう。そんな感覚。
俺はこの時に次のような発言を母親にした。
久しぶりに靴を履くと、宙を浮いているような感覚になるな。
母親は、外に出なさ過ぎて等々おかしくなったかという感じで笑っていたが、本当に雲の上でも歩くかのような感覚を得たのを覚えている。足も弱っているのが影響するのだろうか。踏みしめるコンクリートは非常に硬く、一歩一歩がとても懐かしかった。
といっても数週間ほど家から出なかったくらいだったと思うが。中には外に一歩も出ないで済む人もいるらしい。そういった人が、もしこれを読んでいたら、靴を履いてみて家の外を歩いてみるといい。無理なら靴を履いて玄関先だけ歩いてみるだけでも面白い。
意識した事の無いコンクリートや土の感触を味わえるお得感がある。
惰性で物を買わないといけない制約感
この1年は振り返ってみても何をやっていたのか・・ほとんど記憶に無い。それだけ、変わらない毎日をリピートエンドレスしていたという感覚だ。好きだったゲーム、漫画、雑誌などはあっても、さすがに金銭的に限界があるため毎日を満たせるほど充実した環境は作れていなかった。
外に出るのも買い物という最低限の用事程度だ。しかし、段々と親は車で買い物に連れて行くのを嫌がるようになった。結果、俺は自力で週2回ほど愛読書であった少年ジャンプと週刊ファミ通を自転車で買いに行かざるを得なくなっていた。他はゲーム屋に用事があれば行くくらい。
ゲームの話だと、2001年7月19日に発売されたファイナルファンタジー10は購入して遊んだ。クリアまでしっかりと楽しんだのを覚えている。この日に同時発売された「風来のシレン砂漠の魔城」というGB版ソフトがあったがこれも購入している。
同時に買った理由は、何だか買わないと気が済まない感じがしていたから。
両ソフト共に、だいぶ前に発売が決定してからというものワクワクしていた。しかし人間なので、その時のワクワク感から発売日までの間で気持ちに変化が起こる事もある。案の定、俺はこのFF10で十分満足してしまっていた。
しかし俺は「シレンが欲しかったけどやっぱりイラネw」が出来ない状態だった。発売が決定してあんなに楽しみにしていたのだから、欲しく無くても買った方が良いだろうと思ってしまう。
収集的な意味合いもあるのだけど、一度買うと決めたら買わないと気が済まなかった。引きこもっているので、やる事が無いせいか収集したという気持ちで欲求を満たしていたのだろう。ほぼ遊んでいないのに勿体ない。
買わないと気が済まないというか、惰性で買ったとも言うべきか。思い起こせば惰性で買うというのは俺の人生のキーワードでもあるかもしれない。直観的に不要な物でも、ここまできたら買わないと気が済まないという購入動機で、飽きていった少年ジャンプなどは止めるまで時間がかかっていた。
続いている以上買わないと完璧に何かをこなしている感がなくなるのがつらかったのかもしれない。金銭苦になりはじめてジャンプは止めたのを覚えている。
家庭内メタルギアソリッドと田代まさしの事件簿
とにかく外に出るのが億劫で仕方が無かったので、部屋に閉じこもる毎日。家の中で生活している際に、来客があった時などは大変だった。自分の姿が見られないように、壁に張り付いて相手の動きを探っていた。不登校になり引きこもった俺は、他人に見られるのを極端に嫌っていた。
インターホンが鳴って来客があった時などは
もう帰ったか?
と画像のスネークのような位置から母親に言っていた。近所の人が来ているのか、訪問販売かわからないが邪魔だった。俺の存在を隠し通したいと自分自身が思っていたので、玄関を開けて侵入してくる人が鬱陶しくて仕方が無かった。
わざわざ引きこもり男になど誰も興味を持つはずもないが、念のため壁に張り付いて玄関の様子を伺うなど尋常な状態ではなかった。誰かに見られるかもしれないという不安が常に付きまとっていて、極度の強迫性障害なのか、何か別の症状なのかもわからない。苦しい毎日は続いた。
また、この年にあった「田代まさし男風呂ノゾキ事件」は俺に取って衝撃的だった。この事件を知ってからというもの、今度は俺が誰かに風呂をのぞかれるかもしれないと不安になった。風呂に入る際には、厳重に警戒をしていた。俺のち○○を見て誰得なのかもわからないが。
今になって考えればおかしな話だが、当時の俺は人一倍の恥ずかしがり屋だったと思う。温泉など今でこそ1人で行って堂々と○○こをぶら下げているが、当時は被害妄想も重なり脳がおかしくなっていたのだと思う。
9・11アメリカ同時多発テロ~その時ニートは~
事件と言えば忘れられないあのテロ事件もこの年だった。アメリカ同時多発テロ。今ではだいぶ過去の話となっているが、それでも当時を生きた人には忘れられない日であっただろう。
あの日の俺は何気なくテレビをつけていた。ニュースを見ていると、貿易センタービルに飛行機が突っ込んだとの報道があった。まだ1機だけ突撃した場面であったため、この後に起こる史上最悪のテロ事件など想像もしていなかった。事故かな?と思って煙の上がるビルを見ていた。
ところがテレビを見ていると、2機目が突っ込む。何が起こっているのか、まったく理解できなかった。「ああ・・事故か」と思っていた1機目の時とは明らかに状況が違う。立て続けに2機も突っ込んだとなるとわけがわからない。テロなど想像もつかなかった。
しかし、ニュース中に専門家の人が「テロ」という言葉を言っているのを聞き、そういう事もあるのかと考え始めた。ビルが倒壊していく場面まで、しっかりと見ていたがそれでも何が起こっているのか事態がつかみにくかった。
この時は不安だった。先進国のアメリカを狙うと言う事は、日本もターゲットにされてもおかしくないのではと思う俺。飛行機など使わずとも色々な場所でひたすら爆破物などを仕掛けられたら?などと不安な想像が俺の頭を駆け巡った。
万が一でも日本がターゲットにされていて、アメリカのように空から飛行機が突っ込んできたら?またテロ組織がし掛けた爆破騒ぎが起こったら?すべて飛び越えて戦争になったら?
俺の家にも飛行機が突っ込んできたらどうしよう!?
あの日の夜の不安は、引きこもりの俺が遭遇した一大事という状況だ。ちなみに不謹慎ではあるが、映画のシーンのように大量に人が亡くなるこの事件を見ていて、自分も一瞬で楽になるのなら死にたいとも考えた。生きたい自分と、早く死にたい自分が同時にいたように思う。
ファミ通にはお世話になりました
週刊ファミ通には引きこもり時代にかなりお世話になった。ゲームをされる方なら、誰もが目を通された事のある有名ゲーム雑誌だが、この時期は隅々まで舐めるように読んでいた。よほど時間があったのだろう。
しかしゲームは好きだが、毎週のように買っても特に目新しい情報が随時掲載される事は無い。だが読んでいるとお気に入りのコーナーも出てくる。
今現在でもコーナーとして続いているので、ファミ通読者なら分かると思うがファミ通町内会という読者投稿コーナーだ。俺はハガキをそこに投稿していた。投稿して採用されるとファミ通からガバスという仮想通貨が貰えるためそれを狙って毎日ネタを考えていた。
ハガキも無料では無いので、真剣にネタを考え投稿していた。しかし、ハガキ職人と呼ばれる言わば投稿に命を賭ける勢いの人たちには敵わない。俺はわずかゲームソフト1本と交換して貰える程度のガバスを稼いでゲームを手に入れてから投稿からは手を引いた。
と言っても元々、このハガキ投稿の遊びにも苦しい面があったのもある。それはハガキの送付先の住所を書かねばならない事。この住所記載が強迫性障害の影響で書く事が困難であった。間違っていたら届かないという不安に襲われポスト投函後にも何度も悩まされた。
(参考記事 強迫性障害の苦悩)
何度も何度も送付先の書き間違えが無いかを確認する事に、いつの頃からか疲れていたのもあったためハガキ投稿を止める事にそれほど抵抗がなかった。
他には、中学時代からやっていたハガキで懸賞に応募することにも力を入れていた。これは当選確率がどうなっていたのかわからないが、定期的に何かに当選して家に景品が届いていた。電波少年でなすびがやっていた生活のゆるいバージョンだ。
送られてくる商品は、安っぽいキーホルダーに始まり、ゲームソフト系までというレベルだが一定の間隔で何かが届くので、とりあえず懸賞をする日々でもある。当たれば普段は病みがちな自分でも気分がいい。
また、この年はドラゴンクエスト4がPSでリメイクされていて夏はFF、冬はドラクエ4という具合にゲームに埋没した。とにかく部屋から出るのが苦痛だったのをゲームでカバーしていた。
ファミ通ではPS版ドラクエ4のコーナーがありゲーム開始からエンディングまでを、タイムアッタクで勝負しようというミッションもあった。ファミ通の伝統コーナーである「やり込み」にも挑戦した。しかし、まったく全国レベルにならず無駄な応募になった思い出という感じだ。
ニートと、おばあちゃん
だいたいこの頃の資金源は、ばあちゃんだった。親が、ばあちゃんに会いに行った際などに、小遣いを俺にと渡してくれていた。お年玉や誕生日などに貰った金はゲームやハガキ代にしていた。
ばあちゃんも俺が、こういった状態に陥っている事を知っていた。俺はこんな状態になっていたので、顔すら見せられなかった。また、学校にも行けないという後ろめたさから、お小遣いを貰ってもお礼の電話すらしない時期が何年も続いていた。金だけ貰うという関係であった。
しかし、そんな状態にあっても、ばあちゃんは俺みたいなニートに対して「人生いろいろあらね(人生は色々ある)」と言ってくれていると母親から聞いていた。見守られているようであった。母親を通して小遣いだけを受け取る俺も、心が痛む年月は続いた。
ツライ時期はまだ続くが後編で。
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